きみがあまりにも優しく笑うから、

 きみがあまりにも優しく笑うから、永遠が欲しいとおれは祈る。きみの鋭い歯を、ぜんぶを見透かす強い瞳を、暴れる髪を、瞳の底に刻みつける。失うのかな。いつかそんな日がやってくるのかな。それでも願うよ。きみが永遠に続けばいい。老いて醜くなっても、燦然と輝き続ける。おれはその光をやさしく握りしめる。それだけでいい。きっときみは訊くだろう。
 「ここが世界の終わりか」

 きみがあまりにも優しく笑うから、世界が終わってしまえとおれは願う。きみの睫毛が頬に落とす影を、阿呆のように開いた口を、今はまだ薄い身体を、見つめて捉えて離さない。心のいちばん柔いところに、有無を言わさず刻みつけられる。いつか失うのなら、それは今がいい。これが一途と言うならば、こんな地獄は今終わってしまえばいい。きっときみは言うだろう。
 「永遠があったらいいのにな」


初出:2022/1/2(Twitterにて)